株式会社かんぽ生命保険は「実利用者ユニバーサルデザイン」認証において、ご契約ハンドブック2021年版が「高齢者検証済ユニバーサルデザイン」認証マークを取得しました。

認証マーク:高齢者検証済ユニバーサルデザイン
対象物:ご契約ハンドブック2021年版

認証番号:210032
制作会社:株式会社DNPコミュニケーションデザイン

利用者:70歳~80歳代の男女
女性3名、男性2名 合計5名
(内訳)70歳女性、 72歳女性、72歳男性、80歳男性、80歳女性

株式会社かんぽ生命保険ご契約ハンドブック

取得した認証マークについて

「高齢者検証済ユニバーサルデザイン認証マーク」

「高齢者検証済ユニバーサルデザイン認証マーク」
今回付与した「高齢者検証済ユニバーサルデザイン認証マーク」は、高齢者をリードユーザーとして、一連のすべての作業を同一空間で一緒に観察体験し、盲点となっていた利用者行動を発見、共有し、その結果を、「制作側の意図や制約についての理解」と「リードユーザーとなる高齢者側の身体的・心理的・機能的側面についての理解」を併せ持つ2級UDコーディネーター資格を有する専門家がすべてのプロセスに関わり、サポートを行い、対象物の情報デザインの改善に多く反映された証となります。

評価のポイント

6回目となる今回の認証の対象物は、前回に引き続き、年に一度、かんぽ生命保険のご契約者に送付される「ご契約ハンドブック」です。この対象物の目的は、保険に加入している実利用者が、「自分が加入している保険内容の状態確認(メンテナンス)」をしてもらうことです。

なぜ、年に一回のメンテナンスが必要なのか?それは自分の保険を最新の情報にアップデートしておくことで、もし病気やケガなどで保険金を請求する際にスムーズに保険金を受け取りやすかったり、請求漏れがあった場合に後からでも損することなく請求ができたり、手続きに問題がないかなどを自分の目できちんと確認できるからです。
しかし、実利用者からすると「毎年確認をすることが、自分にとって何のメリットがあるのかわからない」という認識の方も多く、実は自分にとって有益な情報であっても、どうせ毎年同じ内容だと誤認して、気づかれないままの方もおられます。
そこで、対象物の目的を実現するために実利用者が対象物を利用する状況を提供者と制作会社が一緒に【実利用者行動観察ワークショップ】に臨み、「確認の重要性」や「確認して行動を促すための表現」などを中心に課題を抽出しました。

今回の実利用者UD認証では、「制作部のコンセプトの再構築」や「実利用者に行動を喚起するための工夫」を分析し、多くの改善に反映したことを確認致しましたので、認証となりました。今後の更なる改善にも期待しております。

依頼主・制作会社の具体的な改善内容

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表1 プロトタイプ(改善前)→改善デザイン
P1-P2 プロトタイプ(改善前)→改善デザイン
P3-P4 プロトタイプ(改善前)→改善デザイン
P5 プロトタイプ(改善前)→改善デザイン

制作会社からのコメント

株式会社DNPコミュニケーションデザイン 大久保 卓 氏 

◎継続的な改善が大切。今回が6回目の取り組み
かんぽ生命様は、ユニバーサルデザインに取り組むうえで大切な「継続的な改善」に長年取り組まれており、今回で6回目となります。

◎送付物の仕様変更に伴う基本的な課題の再発見
今回、ご契約さまに送付する「ご契約内容」をお知らせする通知物の仕様が変更されました。それに伴い、認証の対象物も紙面構成やデザインを変更することになりました。そのため、「確認の目的」や「具体的に何を確認するのか」が伝わっていない、などの基本的な課題に改めて気付くことができました。

◎改善ポイントの基本は「確認していただく」こと
改善策を考えるうえでの基本は、「年に一度の確認」をしていただくこと。さまざまな課題が抽出できましたが、そのための「自分ゴト化」「確認の目的の理解促進」「確認方法のわかりやすさ向上」「次の行動の明確化」など、過去の改善策をもとにデザイン改善が実現できました。

◎今後も実利用者視点でのさらなる改善を
予期せぬ生活環境の変化により、今後、例えばオンラインでできる手続きが増えるなど、コミュニケーションの形も変わっていくかもしれません。そのような変化に対しても常に実利用者視点でわかりやすさを追求することで、改善のスパイラルアップを目指して取り組んでいきたいです。

株式会社DNPコミュニケーションデザイン 大久保 卓 氏

株式会社DNPコミュニケーションデザイン
大久保 卓 氏