株式会社かんぽ生命保険は「実利用者ユニバーサルデザイン」認証において、ご契約ハンドブック2022年度版が「高齢者検証済ユニバーサルデザイン」認証マークを取得しました。

認証マーク:高齢者検証済ユニバーサルデザイン
対象物:ご契約ハンドブック2022年度版

認証番号:220034
制作会社:株式会社DNPコミュニケーションデザイン

利用者:70代以上の男女
女性3名、男性2名 合計5名
(内訳)72歳女性、72歳女性、75歳女性、72歳男性、77歳男性

取得した認証マークについて

「高齢者検証済ユニバーサルデザイン認証マーク」

「高齢者検証済ユニバーサルデザイン認証マーク」
今回付与した「高齢者検証済ユニバーサルデザイン認証マーク」は、高齢者をリードユーザーとして、一連のすべての作業を同一空間で一緒に観察体験し、盲点となっていた利用者行動を発見、共有し、その結果を、「制作側の意図や制約についての理解」と「リードユーザーとなる高齢者側の身体的・心理的・機能的側面についての理解」を併せ持つ2級UDコーディネーター資格を有する専門家がすべてのプロセスに関わり、サポートを行い、対象物の情報デザインの改善に多く反映された証となります。

評価のポイント

7回目となる今回の認証の対象物は、前回に引き続き、年に一度、かんぽ生命保険のご契約者に送付される「ご契約ハンドブック」です。この対象物の目的は、保険に加入している実利用者が、「自分が加入している保険内容の状態確認(メンテナンス)」をしてもらうことです。
しかし、実利用者の視点では、どうせ同じ内容だし、毎年届くものなので、さっと確認してあとは棚にしまい込んでしまう方もいます。そこで、対象物の目的を実現するために実利用者が対象物を利用する状況を提供者と制作会社が一緒に【実利用者行動観察ワークショップ】に臨み、「確認の誘導」や「行動を促すための表現」などを中心に課題を抽出しました。
今回の実利用者UD認証では、「制作物を開封してから判断するまでの行動」や「実利用者が読み進めるための工夫」を分析し、多くの改善に反映したことを確認致しましたので、認証となりました。今後の更なる改善にも期待しております。

依頼主・制作会社の具体的な改善内容

※本サイト内の記述、画像、写真の無断転載・転用を禁止します。 

表1 プロトタイプ(改善前)→改善デザイン
P1-P2 プロトタイプ(改善前)→改善デザイン
P3-P4 プロトタイプ(改善前)→改善デザイン
P5 プロトタイプ(改善前)→改善デザイン

制作会社からのコメント

株式会社DNPコミュニケーションデザイン 横浜 大 氏 

◎7回目となる、かんぽ生命様の継続的改善への取組み
毎年必ず改善に取組まれているかんぽ生命様と、今回で7回目となる実利用者ユニバーサルデザイン認証に向けた参加をさせていただきました。

◎提供者・制作者と実利用者のコミュニケーションギャップを発見するための実査
7回目ともなると、各担当者様の知見も得ながら、デザインプロトタイプに「年に一度の確認の必要性」、「契約内容確認の喚起」、「変更手続き書類の把握」が反映できたものと思っていましたが・・
実利用者への行動観察をすると、上記について、より一層の理解促進の工夫が必要なことが判りました。加えて「税法上の取り扱い」についての記載に、多くの方が注目するなど、提供者・制作者と実利用者では、まだまだコミュニケーションギャップがあり、改善の余地があると思いました。

実利用者の思考と行動を振り返りながら改善
制作に携わる、かんぽ生命様・制作関係者一同で、行動観察後、振り返り会議を実施。改善のために、記載する文言のあり方や、誘導デザインの工夫を再検討しました。「契約内容確認」については「実利用者の実際の行動シーン」をイラスト化し、自分ゴト化。また、「税法上の取り扱い」については、多くの方が興味を示していたが、税務署へ相談することを認知していませんでした。そこで、<選択的注意>を促す吹き出しアイコンを採用するなど、様々な改善を重ねて、ご契約ハンドブック2022年度版の完成まで辿り着きました。

◎「これまで理解されていたから」で終わらせない
実利用者に提供する情報は、内容が変わったり加わったりすると、情報要素同士が影響を及ぼし合い、理解を妨げる場合があります。お届けする情報が変化するときは、「これまで理解されていたから」で終わらせることなく、実査を通じて必ず課題を発見し、「わかりやすく」伝わる改善策を考える。結果、<実利用者の正しい理解と行動>につながるよう、今後も、最適な情報デザインを目指していきたいと思います。

株式会社DNPコミュニケーションデザイン
横浜 大 氏

株式会社DNPコミュニケーションデザイン
横浜 大 氏