三井住友銀行用 契約概要/注意喚起情報 兼 商品パンフレット

(募集代理店)株式会社三井住友銀行・(引受保険会社)メディケア生命保険株式会社は「実利用者ユニバーサルデザイン」認証において、「メディフィット リターン」三井住友銀行用 契約概要/注意喚起情報 兼 商品パンフレットが「実利用者検証済ユニバーサルデザイン」認証マークを取得しました。

認証マーク:実利用者検証済ユニバーサルデザイン
対象物 :「メディフィット リターン」三井住友銀行用 契約概要/注意喚起情報 兼 商品パンフレット

認証番号:190013
制作会社:株式会社DNPコミュニケーションデザイン
利用者:20代~40代の男女 
女性3名、男性2名 合計5名 
(内訳)46歳男性、34歳女性、27歳女性、30歳男性、25歳女性

メディケア生命保険株式会社  「メディフィット リターン」

取得した認証マークについて

「実利用者検証済ユニバーサルデザイン」認証マーク

「実利用者検証済ユニバーサルデザイン」認証マーク
今回付与した「実利用者検証済ユニバーサルデザイン」認証マークは、保険に加入している(または加入していた)実利用者をリードユーザーとして、一連のすべての作業を同一空間で一緒に観察体験し、盲点となっていた利用者行動を発見、共有し、その結果を、「制作側の意図や制約についての理解」と「リードユーザーとなる利用者側の身体的・心理的・機能的側面についての理解」を併せ持つ2級UDコーディネーター資格を有する専門家がすべてのプロセスに関わり、サポートを行い、対象物の情報デザインの改善に多く反映された証となります。

評価のポイント

今回の認証の対象物は、保険の募集代理人である銀行員の方が、実利用者に「医療保険」の内容や特徴やリスクを説明して、加入を検討してもらう際に利用するものです。
 
この対象物の目的は、「医療保険に加入し、病気やケガなどなかった場合でも、支払った保険料の全額、もしくは全額よりも多い額が戻ってくる」という保険商品の特徴を実利用者に理解してもらい、検討してもらうことです。
そもそも、病気やケガをして、入院や手術をすると、いつもの生活費に追加で医療費の支払いが必要になります。その医療費の出費を補うことができるのが医療保険です。
もちろん「健康に自信がある人」や、「掛け捨てがもったいないと感じている人」からすると、医療保険は必要ないと考える人もいますが、身内や知り合いの入院費用や、先進医療費の金額を知って驚いた人や、「突然の医療費の出費を避けたい」、「今は健康だけど、将来はどうなるかわからないから不安」と考える人にとっては、医療保険はニーズがあります。
とはいえ、医療保険にニーズを感じていても、「結局、最後まで健康だったら、払った保険料がもったいない」、「病気になりたいわけじゃないけど損はしたくない」と考える実利用者からすると判断に迷いが出てくることも事実です。
 
この保険商品は、そんな「安心は欲しいけど、損はしたくない」という方の要望を叶えるような特徴が詰まった保険商品です。
しかし、実利用者からすると「だいたいの保険は良いことしか言わない」とか、「実は条件が厳しいなどリスクがあるかもしれない」など、先入観がある方も多いため、誤解の解消も含めて、正しく内容を理解してもらい、その上で判断をしてもらう必要があります。
そのような目的を実現するために実利用者が対象物を利用する状況を提供者と制作会社が一緒に【実利用者行動観察ワークショップ】に臨み、「メリットが伝わりにくい箇所」や「丁寧に伝えようとしたのに逆に読み手に負荷がかかりそうな箇所」、「優良誤認を発生させないためのポイント」などを中心に課題を抽出しました。
 
今回の実利用者UD認証では、「実利用者視点の情報提供」や「提供者が想いを伝えたいけど伝わりにくかった箇所」などを分析し、多くの改善に反映したことを確認致しましたので、認証となりました。今後の更なる改善にも期待しております。

実利用者行動観察のようす

1)観察力向上研修(事前研修)

1)観察力向上研修(事前研修)
実利用者研究機構(以下ジツケン)の調査責任者(着席した男性)が、観察班メンバー(立っている男女)に「観察の方法」や「分析の目的」の講義を行っている様子

2)調査(実査)リハーサル

2)調査(実査)リハーサル
ジツケンの調査責任者(左側の男性)の指導の元、観察の手順や観察する位置など、実査の練習をする観察班のメンバー(立っている男女)

3)調査(実査)のようす

3)調査(実査)のようす
ジツケンの調査責任者(右側男性)の進行の元、普段通りに対象物を受取り、利用する被験者(中央着席している女性)を行動観察する観察班のメンバー(立っている男女)

4)調査(実査)のようす

4)調査(実査)のようす
ジツケンの調査責任者(左側男性)が、普段通りに対象物を利用する様子を観察した後に、被験者(右側男性)に目標設定に関わる事項などをヒアリングする様子

5)調査(実査)のようす

5)調査(実査)のようす
行動観察終了後に、次回の改善ワークショップに向け、考察方法の指導をするジツケンの調査責任者(中央立っている男性)と、観察班のメンバー(着席している男女)

6)気づきの共有

6)気づきの共有
盲点となっていた利用者行動を発見し、事前研修で学習した「分析方法」と「利用者の概念モデル」を元に、目標設定に関わる事項を検討する観察班のメンバー

依頼主・制作会社の具体的な改善内容

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P1-P2 実査前→改善版の比較画像
P3-P4 実査前→改善版の比較画像
P5-P6 実査前→改善版の比較画像
P7-P8 実査前→改善版の比較画像

制作会社からのコメント

UDコーディネーター
株式会社DNPコミュニケーションデザイン 松川 雅一 氏 

対象モニターは、働き盛りの20~40代の5名でした。皆さん生活や家族構成が違うので、反応が違うのでは、と当初推測しましたが、実際には多くの共通反応が見受けられました。

  • 情報整理の大切さ
    • 記載の情報、その整理の状態が、読者の直感的理解に大きく影響することが実査でわかりました。例えば、伝えたい言葉を繰り返し記載しても、直感的理解をしていないと、かえって混乱を招き、やがてユーザーの無意識下の混乱が、読むストレスを増幅させます。
  • 商品の魅力を伝える難しさ
    • 商品メリットを、キーワードで記載しても、読者があまり理解しないまま読み進めると、せっかくのメリットが、デメリットに転化する怖さがあると思いました。かといって理由を<提供者の正確な論理>で記載しても、難しすぎて伝わらない。例えば、保険の専門用語(漢字の連続)は、提供者の論理で構成された単語ですが、これが読者にはなかなか伝わりません。逆に情報を<読者(利用者)に寄り添い単純化>すると、情報の正確性に欠ける場合がある。まさに、提供者視点と利用者視点のせめぎ合いです。 これら全てを解決することはできません。ここで情報のコーディネートが必要になります。
  • まず、要素でなく全体で考えるということ
    • 結局、この商品は、読者の「どんな」課題を「いくつ」解決するものなのか、「いつまで」払って、「いつから」お金をもらえるのか、という、実は「とても単純明快な情報を読者は求めている」と、実査で実感しました。まさに5W1Hの視点です。 また、情報を要素でなく全体で考える(編集を大・中・小の構造にして読者を誘導する)ことも、とても大切なことだと思いました。
  • 毎回新たな気づきが得られる「実利用者UD認証」
    • これまで実利用者UD認証に複数回携わってきましたが、今回もまた新たな気づきが得られ、結果、最良の改善策に繋げることができたと思います。
松川 雅一 氏

株式会社DNPコミュニケーションデザイン
松川 雅一 氏 


株式会社DNPコミュニケーションデザイン 宮崎 瑛子 氏 

今回、銀行を募集代理店とする保険商品パンフレットで、実利用者UD認証を取得するということで、メディケア生命保険株式会社さまだけでなく、実際に代理店として販売される株式会社三井住友銀行さまにも実査にご参加いただきました。
色々な立場の方と実査を共にし、意見を出し合い、検討を行った結果として、今回のパンフレットのP1-2が抜本的に変わったのは、実査を行った大きな功績だと感じています。
 
また、非常に興味深かったのは、実査の場で、かなり多くの被験者の方が、用語が理解できていないことで、商品のメリットが伝わりにくくなっている、ということでした。
「メリットだからとにかく目立つようにする」だけでは、何が良いのか伝わらない。ピンポイントの配慮ではなく、情報全体の構造をみて、読み始めの初期段階で引っかかる(理解に迷う)ことなく、メリットに自然にたどり着けるようにするのが一番大切、ということを学びました。
 
今回の実査を通じて、今後パンフレットを企画制作していく上で、そもそもこのパンフレットで一番伝えたいことは何か、そして、このページが、このパートが、結局何を伝えたいのかを、しっかりと考え情報設計を行っていく、その大切さを実感しました。

株式会社DNPコミュニケーションデザイン 宮崎 瑛子氏

株式会社DNPコミュニケーションデザイン
宮崎 瑛子氏 

提供者からのコメント

メディケア生命保険株式会社 商品企画部 募集資料課 半羽 佳夫 氏

保険という“形”のない商品の魅力をお伝えするものとして、保険パンフレットは存在します。その魅力をわかりやすくお伝えし、留意すべき点を漏れなくご理解いただける方法を、常日頃から私たちは考えています。
 
時に商品開発の視点に立ち、時に営業の視点に立ちながらも、最後は必ずお客さまの視点に立つことを忘れないようにします。
しかし、そのような気持ちを持ちながらも、あまり一般的ではない用語を使ってしまったり、正確に伝えようとするあまり、かえって難しい文章を生み出してしまうこともあります。
それらの反省を踏まえ、よりお客さまの視点に立ったパンフレットを作成すべく「実利用者ユニバーサルデザイン」の取得に取り組みました。メディケア生命としては初の試みです。
 
対象となった商品「メディフィット リターン」は、比較的特徴がわかりやすい商品です。一方で、馴染みのない用語が多くなりがちな商品ですが、お客さまに魅力が伝わるよう心がけながら作成を進めてまいりました。
しかし、実際の調査において、私たちの予想とは大きく異なる結果が次々と出てきました。特に「ご理解いただける」と考えていたことが十分なご理解を得られないなど、改善の余地があることは明白でした。
 
これは非常に大きな経験であり、今後にも生かすことができると確信しております。これからも、さまざまなパンフレットを作成することになりますが、よりお客さまに寄り添った作品を生み出せるよう取り組んでいきたいと思います。

半羽 佳夫 氏

メディケア生命保険株式会社 
商品企画部 募集資料課 
半羽 佳夫 氏


株式会社三井住友銀行 松﨑 匠吾 氏、田中 芳太朗 氏、馬場 孝行 氏

銀行窓販という販売形態においては、様々な保険会社の商品が並べて比較提案されるため、商品パンフレット等の募集資料はお客さまにとって分かりやすく、また、販売担当者にとって説明しやすいものであることが求められます。
保険会社とともに募集資料を作成する際には、販売代理店としての立場から、お客さま・販売担当者にとって分かりやすい資料となるよう取り組んでおりますが、今般、より消費者の立場に近い第三者の知見を得たいと考え、「実利用者ユニバーサルデザイン」認証の取得に取り組みました。当行が取扱う保険商品の募集資料において、本認証の取得は初めての事例となります。
 
調査を通じて、強く感じたのは、「保険」にあまり詳しくない実利用者と作成者間にあるギャップです。例えば、保険商品の募集資料には保険用語が多く記載されており、普段、保険商品に携わっている作成者であれば容易に理解できる箇所も、丁寧な解説や用語説明がないと実利用者がなかなか理解できない、というケースが多くありました。
 
調査を踏まえた改善によって、より「わかりやすい」募集資料に繋がったと考えています。今回の「実利用者ユニバーサルデザイン認証」の認証過程での経験を活かし、今後も「利用者視点」を大切にし、より分かりやすい募集資料を実現していきたいと思います。