「米国ドル建特定疾病保障終身保険(低解約返戻金型)」
商品パンフレット

ジブラルタ生命保険株式会社が、「米国ドル建特定疾病保障終身保険(低解約返戻金型)」商品パンフレットにおいて「実利用者ユニバーサルデザイン」認証を取得しました。

認証マーク:実利用者検証済ユニバーサルデザイン
対象物 :「米国ドル建特定疾病保障終身保険(低解約返戻金型)」商品パンフレット

認証番号:200025
制作会社:株式会社DNPコミュニケーションデザイン
利用者:60〜70代の男女 女性3名、男性2名 合計5名
(内訳)62歳女性、67歳女性、72歳女性、69歳男性、77歳男性

「米国ドル建特定疾病保障終身保険(低解約返戻金型)」商品パンフレット

取得した認証マークについて

「実利用者検証済ユニバーサルデザイン」認証マーク

「実利用者検証済ユニバーサルデザイン」認証マーク
今回付与した「実利用者検証済ユニバーサルデザイン」認証マークは、保険に加入している(または加入していた)実利用者をリードユーザーとして、一連のすべての作業を同一空間で一緒に観察体験し、盲点となっていた利用者行動を発見、共有し、その結果を、「制作側の意図や制約についての理解」と「リードユーザーとなる利用者側の身体的・心理的・機能的側面についての理解」を併せ持つ2級UDコーディネーター資格を有する専門家がすべてのプロセスに関わり、サポートを行い、対象物の情報デザインの改善に多く反映された証となります。

評価のポイント

今回の認証の対象となる「米国ドル建特定疾病保障終身保険(低解約返戻金型)」商品パンフレットは、主にライフプラン・コンサルタント(営業社員)の方が、お客さまに、対象となる保険商品を説明する際に使うツールです。このツールの目的は、これから保険の加入を検討するお客さまに、この保険商品が「どういったものなのか」を説明して、理解していただくことです。
この保険は、「特定疾病の保障」であることだけではなく、「米国ドル建」の「終身保険」であるということを理解する必要があります。
それぞれの理解ができれば、どういったメリットがあるのか見えてきます。またメリットやデメリットなど特徴がわかってくると、今度は、自分に適切な保険なのかを検討できる段階になってきます。しかし、理解ができなければ、「よくわからないといった漠然とした不安」や「自分には理解するのが難しいからやめておこう」と、提供者にとってマイナスな要素を与えてしまうこともあります。
そのような実際の利用者の感じ方を「実利用者行動観察ワークショップ」を通じて、作り手である提供者が目のあたりにすることで、今回の対象物に対して潜在的に感じているネガティブな雰囲気やマイナスにつながる要素や、提供者と実利用者のギャップなどを見つけ出すことができました。

見つけ出した課題を軸に、提供者と制作会社が、様々な制約条件の元、実利用者とのギャップを埋めるために実利用者視点で分析と改善を行いました。これによって、説明を聞く側も、説明を行う側も経験や知識差があっても、より理解ができるように改善を実施したことを確認し、認証しました。今回、制作者が獲得した様々な知見やノウハウをぜひ他商品にも展開していただくことを期待しております。

実利用者行動観察のようす

1)調査リハーサル(実査)

1)調査リハーサル(実査)
実利用者研究機構(以下ジツケン)の調査責任者(左側の男性)が、観察班メンバー(立っている男女)に、調査中の観察のポイントや、観察の手順・観察する位置など指導している様子

2)調査(実査)のようす

2)調査(実査)のようす
ジツケンの調査責任者(左側の男性)の進行の下、普段通りに対象物を受取り、利用する被験者(中央の着席している女性)を観察する観察班のメンバー(立っている男女)

3)調査(実査)のようす

3)調査(実査)のようす
ジツケンの調査責任者(左側の男性)の進行の下、自然な状態で調査対象物を利用する被験者(中央の着席している男性)を観察する観察班のメンバー(立っている男女)

4)調査(実査)のようす

4)調査(実査)のようす
ジツケンの調査責任者(左側男性)が、普段通りに対象物を利用した後に、被験者(右側女性)に目標設定に関わる事項などをヒアリングする様子

5)調査(実査)のようす

5)調査(実査)のようす
行動観察終了後に、次回の改善ワークショップに向け、考察方法の指導をするジツケンの調査責任者(右側立っている男性)と、観察班のメンバー(着席している男女)

6)気づきの共有

6)気づきの共有
盲点となっていた利用者行動を発見し、行動観察時に書き出した観察シートを基に気づきの共有を行う調査に参加した観察班のメンバー(着席している男女)

依頼主・制作会社の具体的な改善内容

※本サイト内の記述、画像、写真の無断転載・転用を禁止します。 

プロトタイプ(改善前)表1・表4
改善デザイン表1・表4

プロトタイプ(改善前)1−2ページ
改善デザイン1−2ページ

プロトタイプ(改善前)5−6ページ
改善デザイン5−6ページ

制作会社からのコメント

UDコーディネーター
株式会社DNPコミュニケーションデザイン 松川 雅一 氏 

◎難解な印象の生命保険
本商品は「米国ドル建特定疾病保障終身保険(低解約返戻金型)」という、ユーザー(利用者)にとっては、漢字の連続で、とても難解な印象の生命保険です。
この保険商品を伝えるパンフレットに対し、今回、実利用者ユニバーサルデザイン認証取得のための、「実利用者行動観察ワークショップ(WS)」に参加しました。
 
◎プロトタイプの留意点
実利用者行動観察WSで使用する、編集デザインプロトタイプを作成するうえで、
留意した点は、主に3つあります。
1.米国ドル建のリスク説明
2.商品特徴を簡潔に訴求
3.Q&Aを有効に活用
 
◎要点を凝縮したプロトタイプ
1.2.については、パンフレットの第一見開き(1シート)で要点を凝縮したプロトタイプを作成し、わかりやすさを目指しました。いわゆる「1シートで要点をまとめよう」という方法です。
 
◎1シートで要点をまとめる罠
WSの結果、一見「見やすいプロトタイプ」の、3つの大きな課題を発見しました。
・最初に米国ドル建のリスクを掲載、利用者の不安を煽りすぎた
・様々な要点を載せ過ぎ、基本的な商品特徴が伝わっていなかった
・米国ドル建への、利用者の漠然とした不安に応える情報が載っていない
つまり、1シートで要点をまとめるだけでは機能しない、そもそも「要点をいかに絞り込むか」が、実利用者へのわかりやすい情報提供のために、最も重要であることが判りました。
 
◎「本質的な要点」を見極めることの難しさ
ただ、「要点を決めて→絞り込み→優先順位を付け→情報が利用者にわかりやすく伝わる」そのための「本質的な要点」の見極めは、情報提供者のスキルだけでは、とても実現が困難です。
 
◎実利用者ユニバーサルデザイン認証プロセスを活用
そこで、プロトタイプを使って「実際の利用者の思考と行動を観察」、そこで得たクリティカルな課題を改善に繋げる、本認証プロセスを有効活用しました。
*Q&Aも観察結果をふまえ、利用者の潜在的な疑問に応える内容にしています。
 
◎超情報化社会だからこそ「実利用者フレンドリーな情報」を
我々は「情報の流通量が、消費量を圧倒的に上回る」時代に生きています。
また、利用者視点での情報取得が、ますます難しくなってきています。
今後も、情報の「本質的な要点」の見極めにとても役立つ、本認証を有効活用していきます。そして、社会を「実利用者フレンドリーな情報」で満たしていきたいと思います。

株式会社DNPコミュニケーションデザイン 松川 雅一 氏

株式会社DNPコミュニケーションデザイン
松川  雅一 氏 


株式会社DNPコミュニケーションデザイン 外岡 万由子 氏 

今回、新商品の発売にあたり、「外貨建保険の初心者の方、苦手と感じられている方」にも、「わかりやすく」「正しく」伝わるパンフレットづくりを目指し、実査の場に参加させていただきました。
 
主に、パンフレットの掴みとなる1-2ページ、FAQページなど、端的に伝わるよう、プロトタイプを作成したつもりでしたが、実査を通して、ユーザー(利用者)の視点と、販売・制作視点との間で、乖離が生じていることがわかり、結果、「大いに改善の必要があり」と、実感!
 
・なぜ米国ドルなのか?(この商品を販売する意味、メリット)
・どのような方に適した商品なのか?(保険のしくみやご契約例の図表、数字の表現)
・どんなサービスを体験することができるのか?(ご契約後の受け取り方、保障内容)
 
上記に加え、保険や外貨に関する基礎用語の説明も不十分であったことが判明し、ユーザー(利用者)に情報が正しく伝わらず、外貨建保険への苦手意識を深めてしまっていると痛感しました。
 
しかし、ユーザー(利用者)の皆様が、パンフレットを見て・感じられたご意見や疑問の声、そして本能的に見せた表情や動作・仕草。
これらは、実査の現場から得た貴重な情報価値となり、強い危機感と共に、「直ぐに改善したい」という制作意欲が高まりました。
 
そして、パンフレット制作に携わるジブラルタ生命様・制作関係者の一同でこの場を経験し得たことが、その後の大きなアクションに繋がり、チーム一丸で振り返りを行い、何度も改善を重ね、パンフレットの完成まで辿り着きました。
 
この貴重な経験を糧に、今後もジブラルタ生命様の商品を、よりユーザー(利用者)に「やさしく」「わかりやすく」伝えることができるよう、制作活動に磨きをかけて精進していきたいと思います。

外岡 万由子 氏

株式会社DNPコミュニケーションデザイン 
外岡 万由子 氏