三井住友海上火災保険株式会社は「実利用者ユニバーサルデザイン」認証において、傷害保険金請求書が、「実利用者検証済ユニバーサルデザイン」認証マークを取得しました。

認証マーク:実利用者検証済ユニバーサルデザイン
対象物 :傷害保険金請求書

認証番号:230036
制作会社:株式会社DNPコミュニケーションデザイン
利用者:60代~70代の男女
女性3名、男性2名 合計5名
(内訳)66歳女性、71歳女性、 72歳女性、74歳男性、78歳男性

三井住友海上火災保険株式会社 傷害保険金請求書

取得した認証マークについて

「実利用者検証済ユニバーサルデザイン」認証マーク

「実利用者検証済ユニバーサルデザイン」認証マーク
今回付与した「実利用者検証済ユニバーサルデザイン」認証マークは、保険に加入している(または加入していた)実利用者をリードユーザーとして、一連のすべての作業を同一空間で一緒に観察体験し、盲点となっていた利用者行動を発見、共有し、その結果を、「制作側の意図や制約についての理解」と「リードユーザーとなる利用者側の身体的・心理的・機能的側面についての理解」を併せ持つ2級UDコーディネーター資格を有する専門家がすべてのプロセスに関わり、サポートを行い、対象物の情報デザインの改善に多く反映された証となります。

評価のポイント

今回の対象物は、傷害保険に加入している方がケガが生じた際に保険金を受け取るための手続きに使用するものです。
この対象物の目的は、保険金の請求者が請求書に必要事項を正しく記入し、スムーズに請求手続きを行い、保険金を受け取ることです。
実利用者が対象物を利用する状況を把握するために、提供者と制作会社が一緒に行動観察のワークショップに臨み、
「わかりづらい箇所」、「迷いが生じやすい箇所」、「誤記入につながりやすいポイント」などの課題を抽出しました。
一般的に、傷害保険金を請求するための請求書の作成は、ケガをされた方ご本人が行います。しかし、ケガや通院などで既に負担がかかっている方にとって、請求書作成が複雑な場合は、さらなる負担となります。
そのため、提供者は保険金請求者の負担を減らす努力をし、「間違えにくく、わかりやすい請求書」を目指しました。
今回の実利用者UD認証では、実際の利用状況を分析し、実利用者の負担を軽減するための改善策や、実利用者視点でのわかりやすさを重視しました。その結果、保険金請求手続きがスムーズに行える負担の少ない保険金請求書になっていることを確認しました。これにより、実利用者の利便性と満足度を向上させることができると判断し、認証を完了しました。今後の更なる改善にも期待しております。

依頼主・制作会社の具体的な改善内容

三井住友海上火災保険株式会社 傷害保険金請求書 改善案
三井住友海上火災保険株式会社 診察状況申告書 改善案

制作会社からのコメント

日常生活でケガをすることは誰にでも起こり得ることです。ケガをした人は、身体的なダメージだけでなく心理的な負担も抱えます。そのような状況下で保険金請求に必要な手続きがスムーズに行えることは、利用者の負担を軽減し、提供者(三井住友海上火災保険株式会社様)が利用者から信頼を得る上で重要なポイントです。
今回の改善プロジェクトでは、以下の目的を達成するために取り組みました。

  1. 傷害保険金請求書とその記入例の制作: ケガをしたお客様が正確に保険金を請求できるように、わかりやすい請求書と記入例を作成しました。
  2. 想定外の課題の発見: 現在使用されている傷害保険金請求書の情報を整理し、利用者がストレスなく記入できる情報量に変更し、記入項目を削除したプロトタイプを制作しました。

実利用者研究機構様が行った実地調査の結果をもとに、提供者(三井住友海上火災保険株式会社様)と制作者(DNP・デザイナー)は共に改善策を検討しました。その結果、提供者の「あたりまえ」と利用者の「あたりまえ」にギャップがあること、利用者が「これで合っているのか」という不安感を抱えていることを認識しました。
提供者と制作者は共に改善策を検討し、問題解決のプロセスを経て改善を行い、実利用者研究機構様から認証を取得することができました。情報インフラの発達により、利用者の声は以前より提供者に届きやすくなっていますが、実施した実地調査では、普段聞くことのできない実利用者の潜在的な声を聞くことができ、新たな気づきを得ることができました。
今回の実施した実地調査の経験を通じて、利用者に寄り添った、より多くの方に伝わる情報デザインを追求していきたいと思います。