就労不能障害介護保障型家族収入保険
(無解約返戻金型)〔無配当〕

ジブラルタ生命保険株式会社が、就労不能障害介護保障型家族収入保険(無解約返戻金型)〔無配当〕パンフレットにおいて「実利用者ユニバーサルデザイン」認証を取得しました。

認証マーク:実利用者検証済ユニバーサルデザイン
対象物 :就労不能障害介護保障型家族収入保険(無解約返戻金型)〔無配当〕

認証番号:200028
制作会社:株式会社DNPコミュニケーションデザイン

取得した認証マークについて

「実利用者検証済ユニバーサルデザイン」認証マーク

「実利用者検証済ユニバーサルデザイン」認証マーク
今回付与した「実利用者検証済ユニバーサルデザイン」認証マークは、保険に加入している(または加入していた)実利用者をリードユーザーとして、一連のすべての作業を同一空間で一緒に観察体験し、盲点となっていた利用者行動を発見、共有し、その結果を、「制作側の意図や制約についての理解」と「リードユーザーとなる利用者側の身体的・心理的・機能的側面についての理解」を併せ持つ2級UDコーディネーター資格を有する専門家がすべてのプロセスに関わり、サポートを行い、対象物の情報デザインの改善に多く反映された証となります。

評価のポイント

今回の認証の対象物となるパンフレットは、この資料のみ単体で実利用者が使うものではなく、ライフプラン・コンサルタントの方々が、保険商品の説明を行う際に使うものです。
この対象物の目的は、この保険の特徴や仕組みを実利用者に理解してもらい、検討を進めるか、進めないかを判断していただくことです。そのため、実際に契約を検討しているお客さまにわかりやすくすることだけでなく、このパンフレットを使って説明する方々にとっても、より使いやすいものにすることを目指して、今回の認証にチャレンジしていただきました。
この保険商品の特徴である「就労不能」「障害・介護保障」「家族収入」という3つのキーワードを見るだけで、複雑な保険だと感じられると思います。通常、保険商品などの複雑なモノを理解してもらうための工夫として、細かい説明文章、仕組み図やグラフ、事例や注意事項などの情報を誌面いっぱいにぎちぎちに埋めてしまいがちですが、結果として、実利用者の理解を妨げる要因になったり、読んで理解したいと思うモチベーションを低下させてしまうこともあります。
今回は、コロナ禍の中、感染症対策として、上記のような目的がきちんと果たせているかを「非接触型のオンラインレビュー」を採用して、提供者と制作会社と認証機関である実利用者研究機構で、実利用者視点の検証を行いました。
複雑なものを、実利用者視点で整理整頓することにより、むしろ全体的にゆとりのあるデザインに改善することができ、「読みすすめてもらうための工夫」もプラスすることができたと思います。その他にも、様々な発見した課題をきちんと分析し改善を実施したことを確認できましたので、認証となりました。今後の更なる改善にも期待しています。

依頼主・制作会社の具体的な改善内容

※本サイト内の記述、画像、写真の無断転載・転用を禁止します。 

表1・表4 プロトタイプ(改善前)
表1・表4 改善デザイン

P1-P2  プロトタイプ(改善前)
P1-P2  改善デザイン
P3-P4  改善デザイン

P3-P4  プロトタイプ(改善前)
P5-P6  改善デザイン

P5-P6   プロトタイプ(改善前)
P7-P8  改善デザイン
P9-P10  改善デザイン

P11-P12   プロトタイプ(改善前)
P13-P14  改善デザイン

P13-P14   プロトタイプ(改善前)
P15-P16  改善デザイン

制作会社からのコメント

UDコーディネーター
株式会社DNPコミュニケーションデザイン 松川 雅一 氏 

◎生命保険名称の難しさ
本商品は「就労不能障害介護保障型家族収入保険」。17字の漢字の名称で、直感的にどんな保険なのか、ユーザー(利用者)にとってわかりづらい名称です。

◎想起されるペルソナ
名称は端的に言うと<家族収入保険>であり、一見、配偶者やお子さまがいる世帯主向けの保険と感じられます。

◎プロトタイプ作成時
これまでの実利用者UD認証の取り組みの経験も踏まえながら、デザインプロトタイプを作成しました。(1)まず特長を端的に記載し、後のページへ誘導(2)次にこの保険の合理性を記載(3)そして各年金(保障)を順に記載(4)注意事項を記載(5)Q&Aを記載、という構成の流れにしました。

◎プロトタイプの課題整理~振り返り会議で得た気づき
まず大きな気づきが1つ、その他様々な気づきがあり、主に3つの改善策を図りました。
■改善策(1):ペルソナ設定と、ニーズの掘り起こしを重視
この保険は、配偶者やお子さまがいる世帯主向けだけでなく、独身で将来の結婚や親への経済負担を意識するペルソナにも、訴求すべき保険であることが、振り返り会議を通じて浮き彫りになりました。各ペルソナならではのニーズの掘り起こしを重視し、編集デザインを改善しました。
■改善策(2):読んでわかるから「見てわかる」へのシフト
特長を端的に記載するだけでなく、イラストなど直感的に見てわかる工夫で、情報伝達速度を向上させることを徹底しました。
■改善策(3):まとめられる情報はまとめてわかりやすくする
これまで慣例で分断されていた掲載情報についても、一体化させ、ユーザーに伝わりやすい情報構造に改善しました。
結果、ページ構成も抜本的に改善され、実利用者UD認証を取得することができました。

◎「だれに・なにを」―ペルソナ設定の重要性
今回の認証の取り組みを通じ、あらためて実感したこと。あたりまえではありますが、「だれに・なにを」伝えたいのかを明確にすること、その重要性です。情報コミュニケーションを考えるにあたり、5W1Hを意識することは重要です。その中でも特に、WHO・WHATの重要性にあらためて気づかされた取り組みでした

◎デバイス・メディアの多様化と向き合うために
現代は、印刷物・PC・スマートフォンなどのデバイス、そしてパンフレット・DM・WEBサイト・SNSなどメディアの多様化が加速しています。「実利用者」にとっては、情報を得る方法・選択肢の多様化は歓迎すべきこと。その一方で、情報「提供者」側からすると「だれに、どのメディアで、なにを情報発信すべきか」の設計はとても重要です。デバイス・メディアが多様化しても、大切なのは「だれに・なにを」伝えるかを、ユーザーファースト(実利用者視点)で見極めること。実利用者UD認証も有効に活用し、今後も、情報コミュニケーションをさらに最適化していきたいと思います。

株式会社DNPコミュニケーションデザイン 松川 雅一 氏

株式会社DNPコミュニケーションデザイン
松川  雅一 氏 


株式会社DNPコミュニケーションデザイン 外岡 万由子 氏 

●ファーストインプレッション
「就労不能障害介護保障型家族収入保険」という商品名を初めて活字で見たときは、「家族収入」「介護保障」という用語に目が行き、子どもがいない・まだ介護を意識していない自分には、どこか当事者意識が薄く感じたものでした。

●自分ごと化ができた瞬間
しかし、その商品内容を詳しく知ると思いは一変。不意に起きる事故や病気などだけでなく、うつ病などの精神障害に関する病気にも幅広くカバーしており、「他人ごとではない」と実感しました。背景に「コロナウイルス」が流行し始め、社会や諸環境の変化に漠然とした不安を抱えたまま働くことになった渦中との重なりもありました。
日々、ストレス社会で働く現代の多くの人にとっても「自分が要因で、もし働けなくなったら?」の問いかけには、きっと自分ごととして捉えることになる。時代のニーズに合った商品であると可能性を感じました。

●デザインプロトタイプの大きな課題、そして改善
しかし、いざ志気高めた状態でデザインを用意し、実利用者目線でレビューに臨んだところ、多くの課題が浮き彫りになり、理想と現実のギャップが生じていることが発覚。特に2つの課題は、紙面全体に関する大きなテーマでした。

課題1実利用者層の関心を高めることができていない
「提供者⇔実利用者のコミュニケーションギャップ」。前述した当初の自分自身と同様、実利用者にとって他人ごとに思われてしまうのではという危機感が生じていることに気づきました。多くの実利用者の将来設計に役立てたいと思うものの、その機会を減らしてしまうのは阻止したい

課題2.わかりやすく情報を組み立てることができていない
4つの保障「家族年金」「高度障害年金」「就労不能障害介護年金」、「特定就労不能障害給付金」をそれぞれ章立ててデザインしましたが、色で分け、図表で説明を加えても、用語が難解でそれぞれの特徴や言いたいことも伝わりにくい。情報過多で、「どこからどこまでが」1つの話をしているのか線引きも曖昧。これでは実利用者にも「結局なんのための保険なの?」「イメージがわかない」と印象に残らないものになってしまいます。
そこで、全面リニューアルを行うこととし、以下の通り改善することにしました。

改善1誰のために必要な保険なのか?を明確に。実利用者=「主人公」に
このパンフレットを「物語」として、2人の「主人公」を設定することからはじめました。Aさん(男性、既婚、家族3人暮らし)と、Bさん(女性、独身、1人暮らし)です。この2人のキャラクター設定(イラスト、生活環境、思考)には、ジブラルタ生命様と詳細までこだわり、何度も修正を重ねて築き上げました。そして、巻頭の見開き1ページを使い、その2人の目線で「もし働けなくなったらどうしよう?」というコピーを大きく取り上げ、「現代のあらゆる働く人へ必要な商品であること」を訴求することで、実利用者にこのパンフレットの主人公になったような気持ちになっていただき(=自分ごと化)、商品に関心持っていただけるよう工夫しました。また、説得性のあるデータは最終見開き1ページで資料として入れ込み、利用者に理解を深めていただけるようにしました。

改善2実利用者にはどんな価値を提供できるのか?4つの保障をわかりやすく
・それぞれどういう症状や状態になったら、何を受け取れるのかをよりわかりやすくするために、人物のイラストを多用し表現しました。
・保険の仕組みや受取りを示す図表も例を設けてわかりやすく、FAQも検討前の方にも読んでいただくために基本的な内容を入れるよう再構築。

最終的に、ジブラルタ生命様に「よりわかりやすくするために」紙面を4ページ増やしていただくことを決断いただき、紙面を「読みやすく・わかりやすく」刷新
できました。この貴重な経験を糧に、今後も提供者(ジブラルタ生命様)と実利用者のお役に立てるよう、思いを込めて制作活動に取り組みます。

外岡 万由子 氏

株式会社DNPコミュニケーションデザイン 
外岡 万由子 氏