住友生命保険相互会社は、お客さまへ配布している“住友生命「Vitality」”パンフレットの「実利用者検証済ユニバーサルデザイン」認証マークを取得しました。

認証マーク:実利用者検証済ユニバーサルデザイン
対象物 :“住友生命「Vitality」”パンフレット

認証番号:180007
制作会社:株式会社DNPコミュニケーションデザイン
利用者:中学生以下の子育て世帯 女性3名、男性2名 合計5名
(内訳)48歳女性、50歳女性、51歳女性、47歳男性、54歳男性

“住友生命「Vitality」”パンフレット

取得した認証マークについて

「実利用者検証済ユニバーサルデザイン」認証マーク

「実利用者検証済ユニバーサルデザイン」認証マーク
今回付与した「実利用者検証済ユニバーサルデザイン」認証マークは、対象製品のメインユーザーである中学生以下の子育て世帯をリードユーザーとして、一連のすべての作業を同一空間で一緒に観察体験し、盲点となっていた利用者行動を発見、共有し、その結果を、「制作側の意図や制約についての理解」と「リードユーザーとなる利用者側の身体的・心理的・機能的側面についての理解」を併せ持つ2級UDコーディネーター資格を有する専門家がすべてのプロセスに関わり、サポートを行い、対象物の情報デザインの改善に多く反映された証となります。

評価のポイント

前回に引き続き、2回目の挑戦となる今回の認証の対象物は、このパンフレットのみ単体で実利用者が使うものではなく、営業職員の方々が、保険商品の説明を行う際に使うものです。そのため、実際に契約を検討しているお客さまだけでなく、このパンフレットを使って説明する方にとっても、わかりやすく使いやすいものにすることを目指して、今回の検証に挑まれました。
実際の利用者不在で制作者だけでパンフレットを改善するのではなく、実際の利用者が、パンフレットを自然な状態で利用している様子を観察し、無意識にわかりにくい(わからない)と感じる箇所や、わかったつもりで間違った理解(誤認)をしている箇所、提供者が伝えたいポイントや想いが伝わっていない箇所などを発見し、その原因を分析して改善を行いました。
今回は、保険商品に健康増進への取り組みをサポートするウェルネスプログラム「Vitality 」を組み込んだ新しい保険、“住友生命「Vitality」”のパンフレットです。そもそも実利用者にとって、保険とは自分や家族に「不測の事態」が起きた時に対応するための備えの一つです。しかし、保険に入っているとはいえ、積極的に怪我や病気になることはなるべく避けたいので、健康診断や人間ドックなどを受け、病気の早期発見に努めたり、運動や食事などに配慮し、健康的な毎日を過ごせるように努力されている方も多いです。 ずっと元気だったら、保険に入らなくてもいいのか?でも、何が起こるかわからないから、保険に入ったほうがいいのか?
“住友生命「Vitality」”は、そんな葛藤を解消し、「日々、健康で過ごしたいために努力する方々」を応援してくれます。 「保険加入による静的な安心」と「健康増進活動による動的な安心」が両立する、そんな新しい保険のカタチが“住友生命「Vitality」”にあります。
今までの保険商品にはなかった「Vitality健康プログラム」を保険の仕組みとは別で理解することや、健康増進への取り組みに応じて獲得できるポイントと「保険料の変動」との関係性など、今までになかったからこそ、新しい「保険との関わり方」を構築することを、実利用者を観察することで、多くの課題や気づきを発見し、改善に反映していただきました。
上記のような特徴や内容を、提供者に代わって利用者に伝わるようにする為の媒体の一つが、今回のパンフレットであり、その目的がきちんと果たせているかを提供者と制作会社が実際の利用状況を同じ空間できちん検証して、見つかった課題をきちんと分析し、改善を実施したことを確認し、認証しました。今後の更なる改善にも期待しています。

実利用者行動観察のようす

1)観察力向上研修(事前研修)

1)観察力向上研修のようす
実利用者研究機構(以下ジツケン)の講師(右側白衣を着た男性)が、観察班メンバー(左側着席した男女)に「観察の方法」や「分析の目的」の講義を行っている様子

2)観察力向上研修(事前研修)

2)観察力向上研修のようす
ジツケンの講師(右下着席した男性)の指導の下、観察の手順や観察する位置など、実査の練習をする観察班のメンバー(立っている男女と着席している女性)

3)調査(実査)のようす

3)調査(実査)のようす
ジツケンの調査責任者(左側男性)の進行の下、被験者(中央着席している男性)が対象物を利用している様子を行動観察する観察班のメンバー(立っている男女)

4)調査(実査)のようす

4)調査(実査)のようす
ジツケンの調査責任者(左側男性)の進行の下、普段通りに受取り、利用する被験者(中央着席している男性)を行動観察する観察班のメンバー(立っている男女)

4)調査(実査)のようす

4)調査(実査)のようす
ジツケンの調査責任者(左側男性)が、普段通りに対象物を利用した後に、被験者(右側女性)にヒアリングする様子

5)調査(実査)のようす

5)調査(実査)のようす
行動観察終了後に、次回の改善ワークショップに向け、考察方法の指導をするジツケンの調査責任者(右側男性)と、観察班のメンバー(左側着席している男女)

6)気づきの共有(改善ワークショップ)

6)気づきの共有(改善ワークショップ)
考察結果から、盲点となっていた利用者行動を発見し、気づきの共有を行う観察班のメンバーと、ジツケンの調査責任者(右側男性)

6)気づきの共有(改善ワークショップ)

6)気づきの共有(改善ワークショップ)
事前研修で学習した「分析方法」と「利用者の概念モデル」を元に、目標設定に関わる事項を検討する観察班のメンバーと、ジツケンの調査責任者

依頼主・制作会社の具体的な改善内容

※本サイト内の記述、画像、写真の無断転載・転用を禁止します。 

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UDコーディネーターからのコメント

健康増進活動×保険という画期的なコンセプト、“住友生命「Vitality」”。
Vitality健康プログラムは、健康増進の取組みインセンティブとして有効な一方、そのしくみは決してシンプルなものではなく、理解に相応の時間が必要でした。
 
そこで今回は、ユーザーに
・Vitalityとは何か、そのしくみ・メリットが、簡潔・直感的に伝わること
・保険料割引など、保険商品との連動性が、端的・合理的に伝わること
・リスクを減らす(Vitality)とともに、リスクに備える(1UP)必要性も伝わること
 そして
・この保険に入り、メリットを享受する自分がイメージできる(=自分事化できる)こと
これらを検証するために実利用者行動観察調査(ワークショップ)を実施しました。 
 
調査で得た気づきをもとに、住友生命様・DNP・デザイナー・JITSUKENの全員で調査後振り返り会議を実施。
 
編集デザイン上の改善策として、
○時系列でのプロセスがわかる「フロー図」
○直感的に「見てわかる」「自分事化」を促せる写真・ピクトの活用
○ユーザー理解をさらに補強する「Q&A」を積極的に採用しました。
 
デジタル化が進展し、超情報化社会・情報過多の昨今、企業が伝えたい情報は、ますますユーザーに伝わりづらくなっています。
こんな時代だからこそ、情報を「編集デザインで工夫、わかりやすく伝えること」は、企業のビジネスメリットと社会的使命に大きく貢献します。
 
今後も、「わかりやすいとは何か」を常に考え、フローやピクトなど情報の視覚化である「インフォグラフィックス(IG)」も有効に活用しながら、「ユニバーサルデザイン(UD)」を推進していきたいと思います。

松川 雅一 氏

株式会社DNPメディアクリエイト
松川 雅一 氏

住友生命保険相互会社様からのコメント

保険商品は目に見えない商品と言われていますが、それを“見える化”するのが募集資料であり、その果たす役割は大きいものと考えています。当社はこれまでも「見やすく・読みやすく・わかりやすい」募集資料の作成に取り組んでまいりましたが、より消費者の立場に近い第三者機関の知見を得たいと考え、「実利用者ユニバーサルデザイン」認証の取得に取り組みました。当社では、2017年に取得した『生活保険”1UP”商品パンフレット』に続き、2例目の取得となります。
 
今回取得した『”住友生命「Vitality」”パンフレット』は、加入者の健康増進への取組みをサポートするという、新しい概念の保険商品の募集資料であり、どのように伝えればわかりやすく伝わるのか、試行錯誤の連続でした。調査を通じて、情報量が多かったり、難しい単語を使用している文章やページが読み飛ばされてしまったり、逆にそこまで重視していなかった部分に興味を持たれていたりと、情報の送り手と受け手の間に乖離があることを痛感しました。
 
調査で挙がった一つひとつの課題に対し、当社だけでなく、制作会社やデザイナー、JITSUKEN様を交え専門的視点で具体的な改善策を議論できることが、情報の送り手が考える「わかりやすい」ではなく、情報の受け手にとって「わかりやすい」募集資料に繋がったと考えています。 今回の「実利用者ユニバーサルデザイン認証」の認証過程での経験を活かし、より「わかりやすい」募集資料の実現に向け、引き続き取組んでいきたいと思います。

住友生命保険相互会社 佐合 一輝 氏 ・ 武内 紀良美 氏

住友生命保険相互会社
佐合 一輝 氏 ・ 武内 紀良美 氏