リスクについて不安に思ったら(積立利率更改型一時払終身保険)
ジブラルタ生命保険株式会社は「実利用者ユニバーサルデザイン」認証において、外貨建保険にかかる為替相場の変動リスクや途中解約時のリスク等について記載したパンフレット「リスクについて不安に思ったら(積立利率更改型一時払終身保険)」が「高齢者検証済ユニバーサルデザイン」認証マークを取得しました。
認証マーク:高齢者検証済ユニバーサルデザイン
対象物 :リスクについて不安に思ったら(積立利率更改型一時払終身保険)
認証番号:190017
制作会社:株式会社アート・ブライド
利用者:70代~80代の男女
女性4名、男性1名 合計5名
(内訳)80歳女性、70歳女性、80歳女性、71歳女性、79歳男性
取得した認証マークについて
「高齢者検証済ユニバーサルデザイン」認証マーク
今回付与した「高齢者検証済ユニバーサルデザイン認証マーク」は、高齢者をリードユーザーとして、一連のすべての作業を同一空間で一緒に観察体験し、盲点となっていた利用者行動を発見、共有し、その結果を、「制作側の意図や制約についての理解」と「リードユーザーとなる高齢者側の身体的・心理的・機能的側面についての理解」を併せ持つ2級UDコーディネーター資格を有する専門家がすべてのプロセスに関わり、サポートを行い、対象物の情報デザインの改善に多く反映された証となります。
評価のポイント
今回の認証の対象物は、利用者が保険を契約する前に、事前に注意点を理解してもらうために利用するものです。
この対象物の目的は、「外貨建(がいかだて)保険」の契約を検討するにあたって、保険の特徴の一つである「リスク管理」について、きちんと理解をしていただき、不安を無くしてもらうことです。
上記を理解することは、実利用者にとって、以下のようなメリットがあります。
・ きちんと理解することで、外貨建保険に対する余計な不安が減らせること。
・ 自分の保険について、自分のコントロールで管理がしやすくなること。
・ 金融分野における「リスク」の意味を理解し、保険の仕組みが理解しやすくなること。
しかし、実利用者からすると「外貨建保険は、円建保険よりもさらに難しいのに、リスクの説明をされると余計に不安になる」という方も多く、本当は自分が求めている保険の内容であっても、はじめから理解することを諦めてしまっている方もおられます。
そこで、対象物の目的を実現するために、提供者と制作会社が一緒に【実利用者行動観察ワークショップ】に臨み、「外貨建保険のリスクという特徴を伝えるための提供者と実利用者にある感じ方のギャップ」について、課題を抽出しました。
今回の実利用者UD認証では、「実利用者が読み進める上で、何が伝わりにくいのか」、「高齢な実利用者も理解しやすくなるための読みやすさの配慮」等を分析し、多くの改善に反映したことを確認致しましたので、認証となりました。今後の更なる改善にも期待しております。
実利用者行動観察のようす
1)観察力向上研修
実利用者研究機構(以下ジツケン)の講師(白衣の男性)から、利用者観察で見誤りがちなケースの解説と対策について講義を受ける観察班メンバー(着席した男女)
2)観察力向上研修
ジツケンの講師の指導の元、観察術研修ワークショップで観察手法や当日の立ち位置などを学ぶ観察班のメンバー(立っている男女)
3)調査リハーサル(実査)
ジツケンの調査責任者の指導の元、実査当日に観察の手順や観察する位置などリハーサルをする観察班のメンバー(立っている男女)
4)調査(実査)のようす
ジツケンの調査責任者(左側男性)の進行の元、対象物を利用する被験者(着席している女性)の様子を行動観察する観察班のメンバー(立っている男女)
5)調査(実査)のようす
ジツケンの調査責任者(左側男性)が、普段通りに対象物を利用する様子を観察した後に、被験者(右側女性)に目標設定に関わる事項などをヒアリングする様子
6)気づきの共有
考察結果から、盲点となっていた利用者行動を発見し、気づきの共有を行う観察班のメンバー(立っている男性と着席した男女)
依頼主・制作会社の具体的な改善内容
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制作会社からのコメント
UDコーディネーター
株式会社アート・ブライド 菅原恵美子 氏
日本は、平成29(2017)年10月1日現在、1億2,671万人の人口で、 そのうち65歳以上の人口は、3,515万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)も27.7%で人口の約4分の1を占めている超高齢社会となっています。そのような社会環境においては販売資料も高齢者を意識したものにしなければならないと考えました。
今回の3点の販売資料における改訂のポイントとして
- 外貨建保険自体は理解されているか?
- 外貨建保険における為替リスクは理解されているか?
- 外貨建保険(一時払)の途中解約のリスクは理解されているか?
これらの事を念頭に置き、実査に臨みました。今回実査の対象になった方々は70才~80才台の男女の方々でした。今回の実利用者の反応は想像を超えた、驚くべき反応でした。ドル建(だて)をドル建(けん)と読んでいたり、ドル建だけで「怖い」と言ったり、極端な例ですが、本当に生で偽りのない声がありました。
そんな実利用者に対して振り返りを行い、アプローチとして次の3点を中心に改善を加えました。
- 為替の知識やリスクを理解することにより正確に判断ができること。
- リスクという言葉が金融分野において何を意味するかの正確な理解。
- 為替リスク・途中解約のリスクを図示化して分かりやすく伝えること。
実際には次のようなデザインをしました。
為替についての理解を具体的にわかりやすいようにしなければならないため、情報量・文字量をおさえ見やすくしました。
金融分野における「リスク」という言葉の正確な意味を表紙面で上方に置き、目立つように配置いたしました。
図に円柱を使いその高さに比例して、金額のプラス(マイナス)を表すようにしました。視覚に訴求するようにしました。
今回、ジブラルタ生命保険株式会社の様々な部署の方、パンフレットを印刷してくださるマクビーカタガイの方など立場の異なる方とともに実査・振り返りを行い、たくさんの気づきがありました。高齢者という言葉でひとくくりにされる方々の中にも様々な人々がいて、たくさんの思考がある事を感じました。この経験を生かしユニバールデザインをさらに進めていきたいと思います。
左)株式会社アート・ブライド 嘉村昌人 氏
中央)株式会社アート・ブライド 菅原恵美子 氏
右)株式会社マクビーカタガイ 阿部辰之 氏