契約概要/注意喚起情報 兼 商品パンフレット

(募集代理店)株式会社三井住友銀行・(引受保険会社)住友生命保険相互会社は「実利用者ユニバーサルデザイン」認証において、充実クラブJプラス 契約概要/注意喚起情報 兼 商品パンフレットが「実利用者検証済ユニバーサルデザイン」認証マークを取得しました。

認証マーク:実利用者検証済ユニバーサルデザイン
対象物 :充実クラブJプラス 契約概要/注意喚起情報 兼 商品パンフレット

認証番号:190012
制作会社:株式会社DNPコミュニケーションデザイン
利用者:70代~80代の男女 
女性3名、男性2名 合計5名 
(内訳)75歳男性、76歳女性、79歳男性、80歳女性、80歳女性

充実クラブJプラス 契約概要/注意喚起情報 兼 商品パンフレット

取得した認証マークについて

「実利用者検証済ユニバーサルデザイン」認証マーク

「実利用者検証済ユニバーサルデザイン」認証マーク
今回付与した「実利用者検証済ユニバーサルデザイン」認証マークは、保険に加入している(または加入していた)実利用者をリードユーザーとして、一連のすべての作業を同一空間で一緒に観察体験し、盲点となっていた利用者行動を発見、共有し、その結果を、「制作側の意図や制約についての理解」と「リードユーザーとなる利用者側の身体的・心理的・機能的側面についての理解」を併せ持つ2級UDコーディネーター資格を有する専門家がすべてのプロセスに関わり、サポートを行い、対象物の情報デザインの改善に多く反映された証となります。

評価のポイント

今回の認証の対象物は、保険の募集代理人である銀行員の方が、実利用者に「一時払終身保険」の内容や特徴やリスクを説明して、加入を検討してもらう際に利用するものです。
 
この対象物の目的は、一時払終身保険という「保険料の全額を最初に払うことで、一生涯保障の終身保険になる」という保険商品の特徴を正しく理解して、判断をしてもらうことです。
 
そもそも、一時払終身保険は、
・本人が死亡した際の保険金を受取人が請求する手続きが簡単である
・相続税対策として、相続時の非課税枠がある
・相続争いの解消や遺言の作成の手間がない など
資産を誰かに残したい人にとっては、上手なのこし方を選択できるというメリットがある保険です。
 
しかし、「もう自分の年齢では入れる保険がない」と誤解している高齢な実利用者も多いため、リスクも含めて、正しく内容を理解してもらい、その上で判断をしてもらう必要があります。
 
目的を実現するために、実利用者が対象物を利用する状況を提供者と制作会社が一緒に【実利用者行動観察ワークショップ】に臨み、「誤解を与えやすい箇所」や「本当の良さが伝わりにくい箇所」、「リスクを誤認させないためのポイント」などを中心に課題を抽出しました。
 
今回の実利用者UD認証では、「高齢な実利用者への直感的な理解の誘導」や「実利用者視点の読み手側への負荷軽減」を分析し、多くの改善に反映したことを確認致しましたので、認証となりました。今後の更なる改善にも期待しております。

実利用者行動観察のようす

1)観察力向上研修(事前研修)

1)観察力向上研修(事前研修)
実利用者研究機構(以下ジツケン)の調査責任者(立っている男性)が、観察班メンバー(着席している男女)に「観察の方法」や「分析の目的」の講義を行っている様子

2)調査(実査)リハーサル

2)調査(実査)リハーサル
ジツケンの調査責任者の指導の元、観察の手順や観察する位置など、実査の練習をする観察班のメンバー(立っている男女)

3)調査(実査)のようす

3)調査(実査)のようす
ジツケンの調査責任者(左側男性)の進行の元、普段通りに対象物を受取り、利用する被験者(中央着席している女性)を行動観察する観察班のメンバー(立っている男女)

4)調査(実査)のようす

4)調査(実査)のようす
ジツケンの調査責任者(左側男性)が、普段通りに対象物を利用する様子を観察した後に、被験者(右側男性)に目標設定に関わる事項などをヒアリングする様子

5)調査(実査)のようす

5)調査(実査)のようす
行動観察終了後に、次回の改善ワークショップに向け、考察方法の指導をするジツケンの調査責任者(左側立っている男性)と、観察班のメンバー(着席している男女)

6)気づきの共有

6)気づきの共有
盲点となっていた利用者行動を発見し、事前研修で学習した「分析方法」と「利用者の概念モデル」を元に、目標設定に関わる事項を検討する観察班のメンバー

依頼主・制作会社の具体的な改善内容

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P1-P2 実査前→改善版の比較画像

P3-P4 実査前→改善版の比較画像

P16 実査前→改善版の比較画像

制作会社からのコメント

UDコーディネーター
株式会社DNPコミュニケーションデザイン 松川 雅一 氏 

  • 「後期高齢者」へのアプローチ
    • 後期高齢者は、加齢による障害、視力の低下・白内障・内臓障害など、複数の障害を抱えながら日々暮らしています。
  • まずは高齢者に対する概念モデルを取り除くこと
    • 今の高齢者は、昔のお年寄り(マンガでありがちな)イメージとは全く異なることを、認識すべきだと思います。趣味を持ち、健康のために、無理なく継続できるスポーツ、歌、食選びなど、自分に合った活動をされています。高齢者=○○な人という「思い込みの排除」が、ユーザーの思考と行動を理解する上で、やはり最も重要と、思いながら、今回の実利用者行動観察ワークショップ(実査)に取り組みました。
  • 高齢者の「思考と行動」を解く2つの側面
    • 高齢者は、人生経験の豊富さゆえに、「情報に接する」とき、<2つの側面>があると感じました。①接する情報が自分に関係ある・ないを<判別する力(速さ)>に長けている、一方で、②経験則で情報に接するがゆえに(特に男性が顕著)、<読む途中から過去の経験で解釈し、誤認(間違いやすさ)に陥る>ことがある、という二重の側面(性質)です。
  • 二重の「性質」と「性格」の掛け算
    • これら二重の側面(性質)の関係性を、被験者ごとの「性格」と掛け合わせながら、実査後、課題を抽出しました。 主な課題と改善ポイントは、当ページ記載の通りです。
  • 社会課題解決に向けて
    • 日本は「超高齢社会」と、ITの進展で「超情報化社会」の課題を抱えています。今回の実査は、パンフレット(情報伝達物)の実利用者検証でした。高齢者への情報提供を検証する、とても示唆に富む、貴重な経験でした。今後も、社会課題解決に向けて、「実利用者UD認証」に積極的に取り組みます。
松川 雅一 氏

株式会社DNPコミュニケーションデザイン
松川 雅一 氏 


株式会社DNPコミュニケーションデザイン 宮崎 瑛子氏 

生命保険募集資料の企画制作ディレクターとして、保険会社さまの思いだけでなく、実際に利用される方の思考と行動を観察する機会をいただき、非常に良い経験ができました。
 
事前研修の際に、保険会社さま側から改めて、利用者の方にどのようにパンフレットを読んで、どこを理解してほしいか、ということをしっかり聞かせていただきました。その上で調査に挑むのですが、そもそも想定箇所と違う所でユーザーのつまづきがあり、思い描く理想の読まれ方や、理解にたどり着くというのは、本当に難しいと実感しました。
 
例えば、商品のメリットである「職業のみの告知で入れる」という箇所について、当初は何も引っかかる点がないと思いました。ところが、今回ターゲット層が後期高齢者であったこともあり、まず「持病があっても入れるのか」という点をとても気にされているのを目の当たりにしました。このように「職業のみの告知」といった、一見メリットと思って記載している箇所が、ストレートにメリットだと伝わらない、というとても良い気づきを得ることができました。
 
今後も、保険商品パンフレットの企画制作に携わる者として、まずは、利用者の思考と行動を十分把握した上で、「保険会社さまのお客さまへの思い」が届けられるようになりたいと思います。

宮崎 瑛子氏

株式会社DNPコミュニケーションデザイン
宮崎 瑛子氏 

住友生命保険相互会社様からのコメント

住友生命保険相互会社 濵﨑 裕子 氏、松澤 絢子 氏

商品パンフレットは「商品のしくみ・良さ」を伝えてくれるものであり、その果たす役割は極めて大きいことから、当社はこれまでも「見やすく・読みやすく・わかりやすい」パンフレットの作成に取り組んでまいりました。
 
金融機関等の代理店様で販売している当社商品の中でも、円建て一時払終身保険「充実クラブJプラス」は職業告知のみのシンプルな商品性から、多くのお客さまにお選びいただいています。本商品は円貨で相続対策ニーズにお応えすることができるため、特にご高齢のお客さまに多くご契約をいただいております。 そのため、ご高齢のお客さまも商品のしくみや魅力を容易に理解できるパンフレットを作成することを目的として、「実利用者ユニバーサルデザイン」認証の取得に取り組むことにしました。
 
本調査では第三者である被験者にパンフレットをご覧になっていただき検証を進めていきますが、商品のPRポイントが上手く伝わっていないことや、「特にご確認頂きたい事項」が読まれていないこと、逆にそこまで重視していなかった部分に興味を持たれる等、「驚き」や「新たな気づき」の連続でした。「生命保険はこういうもの」という受け手側の固定概念がある中、現行パンフレットでは伝えたい情報をストレートに伝えることができず、情報の送り手と受け手の間には大きな乖離があることを痛感しました。
 
実利用者行動観察調査は、被験者のリアルな反応を引き出すことができるため、お客さま目線での「わかりやすさ」について多くの気づきを得ることができます。
また調査後は、デザイナーや第三者機関である実利用者研究機構のメンバーとともにあらゆる視点から改善に向けた意見交換を行うことができるため、「わかりやすいパンフレット」により近づけていくことができます。
制作者側の視点だけではなく、受け手側であるお客さまの視点も取り入れて、お客さまや募集人様にとって「わかりやすい」パンフレットを作成できるよう、今回の経験を活かして取り組んでいきたいと思います。

住友生命保険相互会社 濵﨑 裕子 氏、松澤 絢子 氏

住友生命保険相互会社
濵﨑 裕子 氏、松澤 絢子 氏