株式会社かんぽ生命保険は、「実利用者ユニバーサルデザイン」認証において、高齢者をリードユーザーとして利用者全体の使い勝手を向上させる「高齢者検証済ユニバーサルデザイン」認証マークを取得しました。

認証マーク:高齢者検証済ユニバーサルデザイン
対象物 :ご契約ハンドブック 2015年版

認証番号:150001
制作会社:株式会社DNPコミュニケーションデザイン
利用者:高齢者 男性5名、女性5名 合計10名
(内訳)80歳女性、73歳女性、71歳女性、75歳女性、
82歳男性、78歳男性、79歳男性、74歳女性、
84歳男性、79歳男性

株式会社かんぽ生命保険 ご契約ハンドブック 2015年版

取得した認証マークについて

「高齢者検証済ユニバーサルデザイン」認証マーク

今回付与した「高齢者検証済ユニバーサルデザイン」認証マークは、高齢者をリードユーザーとして、一連のすべての作業を同一空間で一緒に観察体験し、盲点となっていた利用者行動を発見、共有し、その結果を、「制作側の意図や制約についての理解」と「リードユーザーとなる高齢者側の身体的・心理的・機能的側面についての理解」を併せ持つ2級UDコーディネーター資格を有する専門家がすべてのプロセスに関わり、サポートを行い、対象物の情報デザインの改善に多く反映された証となります。

評価のポイント

実利用者行動観察の際に、対象物となる【ご契約ハンドブック】だけでなく、封筒から、同封物まで、実際に送付する資料をフルセットで準備してもらい、受け取りから開封、確認、保管までの利用者の一連の行動を観察したことで、盲点となっていた利用者行動について、たくさんの気づきを発見し、様々な制約条件の中、お客さまサービスに関わる他部署にも共有し、出来る限り情報デザインの改善を反映されていた点を評価しました。かんぽ生命保険さまの方針でもある『常にお客さまの立場に立って、分かりやすく利用しやすい商品・サービスの提供に努めていく』を体現した認証事例になりました。今後の改善にも期待します。

実利用者行動観察のようす

実利用者行動観察調査のようす

実利用者研究機構の調査責任者(右から2人目、正面を向いている男性)の指導の下、実利用者行動観察調査の説明を受ける認証取得企業の制作チームメンバー(左から責任者を見ている男女6名)

実利用者行動観察調査のようす

実利用者研究機構の調査責任者(左上男性)の進行の下、普段通りの「受け取り、開封、確認、保管(廃棄)」までの一連の行動をする被験者(右側男性)

実利用者行動観察調査のようす

実利用者研究機構の調査責任者(右側男性)の進行の下、被験者(着席をしている女性)の利用状況を観察する認証取得企業の制作チームメンバー(左側男女)

実利用者行動観察調査のようす

盲点となっていた利用者行動を発見し、すぐに気づきの共有を行う認証取得企業の制作チームのメンバー(左から男性3名と中央女性3名)と実利用者研究機構の調査責任者(右から2人目男性)

実利用者行動観察に参加した被験者の感想

思ったことをなんでも言ってごめんね。ついつい口に出しちゃうタイプだから。でも、こういう声が反映されるといいね。(80歳 女性)

自分の声を届けることができる場所が欲しかった。伝えたい事はあるけど、誰に言っていいかわからないから、良かった。(74歳 女性)

うまくできなかったけど、いつもどおりでいいと言われたので、それが、お役に立てたのであれば、良かったです。(71歳 男性)

自分みたいな高齢者が役に立てる機会はとてもありがたい。若い人にもっと頑張っていただきたいです。(82歳 男性)

自分は、いつもちゃんと読まないでやるからいいけど、もっとやさしくなれば、うちの家内が助かるよ。(79歳 男性)

役に立ててうれしい!もっと良くしていってほしいし、もっと協力したい!私たちは時間があるから!(75歳 女性)

老人になっても普通の人でも、わかるものになってほしいと思っていた。こういうことでわかるものになっていってほしい。(78歳 男性)

私はこういう実際の利用者が参加して改善する調査に興味あります。
参加すると親近感がわいてきますね。(74歳 女性)

「お客様の声」と書いてあるものでも、使ったら自分の声は反映されてないなと思うことがあったが、今日は違うね(笑)(84歳 男性)

依頼主・制作会社の具体的な改善内容

※本サイト内の記述、画像、写真の無断転載・転用を禁止します。 

改善デザイン表紙・表4 ・問い合わせ電話番号が掲載されている場所をよりわかりやすくするために、表4の下に移動。・○×が目立ちすぎているため、×をーに変更。・逆側(最終ページ)から開いてしまうという意見があり、表紙の位置を変更(2013年度版の仕様に)・表紙の写真は広告に見えてしまうため、変更。何を確認するべきかが直観でわかるように「ご契約内容のお知らせ」の画像も入れた。
改善デザイン P1-2 ・大タイトル部分を白抜き文字からスミ文字にし、読みやすくした。・何を見て確認しなければいけないかが直観でわかるようにイラストを追加。・画像を1契約分にし、その他のスペースを広く活用。・契約内容の確認部分をチェックリスト形式に変更し、6つの確認事項をわかりやすくした。
改善デザイン P3-6 ・上下で色分けをし、情報区分をはっきりとした。・白抜き文字からスミ文字に変更・説明文とチェックリストのページが表裏になっていたが、ページを入れ替え、隣ページに配置し、矢印を大きく入れ、わかりやすく改善。

UDコーディネーターからのコメント

株式会社DNPメディアクリエイト 松川 雅一 氏

株式会社DNPメディアクリエイト 松川 雅一 氏

この媒体の最大目的は、契約者に契約内容の「確認行動」を促すことです。今や日本のマジョリティである高齢者にフォーカスして、実際の利用者の思考と行動を細かく観察することで、「これは保険の勧誘広告だ」といったような「無意識の思い込みによるスリップ」や、「思考・行動がフリーズする要因分析」などを通じ、限られた版面の中で改善コーディネートをチームで実施しました。